国境に架かる橋

こんばんは。前回に引き続き4年エビ豆がお送りします。

読者の皆様(?)もいい加減インドネシアには飽きてきたと思いますので、今回は趣向を変えてみましょう。

ズバリ、「国境を超える」。

上越線ではありません(笑)


我々島国に住む日本人、ましてや航空ネットワークがここまで発展した今日において、どうも国境というのはイメージしづらいものであります。私もその一人。


わからないなら行ってしまえば良い。


今回の国境越えに際して白羽の矢が立ったのはタイ東部のAranyaprathetとにあるカンボジアPoipetとの国境。Bangkokから日帰りで行けるお手軽間に加え、かつてはこの国境、タイの首都Bangkokからカンボジアの首都PhnomPenhまで直通列車が走っておりました。さらにレールはベトナム、そして三線軌区間を介して中国へと繋がっていたわけで…。しかしカンボジア国内の鉄道は戦乱により荒廃。今日、もはや鉄道はほぼ機能していないといっても過言ではない状況に…。しかしっ!列車は来なくとも、なんかしらの遺構はあるはずだ!列車は来なくとも場所が語ってくれる!

というわけで行ってきました。

Bangkok(Hua Lamphong)5:55発Aranyaprathet行きORD275列車で出発です。でもその前に、大待合室で現地のお嬢様方と待ち合わせ。時はまだ夜も明けぬ4:30。こんなくだらない企画に早起きさせてしまい申し訳ない…のですが、この列車、特に土休日には市場へ行く人でとにかく混雑するとのことで4:30には駅で待っていて下さいと言われておりました。そして無事集合しまして、切符売り場へ。

なるほど、かなり混雑するとは真のようで、すでに窓口には行列が出来ておりました。といっても中国で見られるようなあの大行列の比ではありませんのでご心配なさらず。ちょうど窓口が開いたようで列も動きだしました。待つこと数分、無事チケットを購入。すると驚くべきことに彼女たちの切符は無料!なんとタイ国民(何かしらの基準を満たす人or一部の大学出身者のみ??)は(土休日に限り??)国鉄運賃無料なんだそうで。いやいや、素晴らしい国だ。

最後尾で後ろ展望するのも良かったですが、なんせBangkokの改札が一番後ろなので混雑が予想されるため、真中あたりの10系タイプ客車のボックスを確保。まあ私の方はというと荷物番は任せて、発車まで構内散策にくりだしてしまったわけですがね。

↑日本から渡った24系とタイ国鉄の新塗装車両

列車は定刻に遅れること10分、列車はHua Lamphongをあとにした。混雑するとだけあって、この時点でほぼ空きボックスはなし。そして毎度のことながらBangSueやMakkasanでさらに乗客を拾い、早くも満席に。立ち客もちらほら。といってもインドネシアのKA Ekonomiの比ではないですがね。

バンコク市内ではしばらく東南アジアらしい車窓風景が続きます

スクオッター住宅(?)の迫るゴミゴミしたBangkok市内を抜けると列車の速度も格段に速くなり、全開の窓から入ってくる風が心地よい。この日はちょっと寒いくらいでしたけどね。まあ当時は雨季であり、しかも昨年は豪雨で場所によってはかなりの被害を受けておりましたが、そんな不安も他所に滞在中は全日快晴。この日も例に洩れず、日が完全に上ると雲一つないような気持ち良い天気となりました。

↑大雨の影響なのでしょうか??

↑反対側も水がそこまで来ている模様…

とにかくこの東線はとくに山を越えるわけでもなく、ひたすら平野を爆走します。車窓はこんな感じ。変化に乏しく退屈かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。本当にあっという間。仮に飽きてきたらTREさんから何か買いましょう(笑)。

↑目の前でココナッツを割ってくれますよ

そして客車に揺られること6時間、11:55終点Aranyaprathetに到着。今思うと6時間も乗っていたのかよと思うくらいのミニトリップでした。客レっていいですね、ホント。

↑機回し中


↑駅名版がかつてこの先もレールが伸びていたことを物語っている


TukTukで駅を後に

で、ここからいよいよ国境へと進みます。レールはこの先もずっと伸びていますが列車はここまで。ですので駅からはTalad Rong Kuluaまでと行き先を告げてTukTukに乗り換えます。Talad Rong Kuluaとは国境近くにある市場のことで、中国方面から入ってくる偽ブランドの雑貨類とか怪しい小間物が安く手に入るところです。まずは国境超える前に先にこちらに向います。というのも、あくまでもこの日の旅行目的は国境市場でのショッピングとしてましたので。そりゃ、廃線跡を見るためにカンボジアに入ると言ったら可愛いガイドさんは付かないというものですね…。もっとも、国境を超える旅行者にとってもこのテクニックは使えるわけで。TukTukの車中も私の興味の先はレールがどうなっているか。どうも道路と並行して農地の向こうにどうもそのまま路盤跡、というかレール自体が残っている模様。そしてTukTukに乗ること5分弱。市場に到着、とそのとき!市場に入る直前、踏切を渡るような不自然な揺れが。

道路にレールがそのまま埋まっているじゃないか!


↑バイク部品屋さんの車庫の中からひょっこり現れた線路


↑市場をかすめてさらに続く

線路は市場の裏手を掠め、国境方面へとずっと続いておりました。NamTok線を観光客への便宜のため廃線跡流用して1区間延ばしたように、ここも土日に市場まで買い物列車走らせればいのになぁ、タイ国鉄さん。どうせ線路残っているんだし。まあ偽もんに連れて行かれることもなく、無事到着です。

かれこれ1時間は買い物をしたでしょうか。そろそろ腹も空いてきたことですので、昼食を食べつつ国境方面へ。と、フードコートのゾーンで飯を食っていると…。あれはもしやレールですか??

レールだ。

ちょいと調理場の脇を失礼して…。

そして、ハンモックで人間が寝ていた…。もうすぐそこは国境というのに、なんだこののほほ〜ん具合は。

それはさておき、お目当てのレールはというとタイ側の出国用イミグレの裏手を通りさらに伸びている模様。ここは何事も無く通過しまして、いざカンボジアへ。


このアンコールワット風のゲートは旅行者にとってちょっとした撮影スポットにもなっています。しかしその脇に並走するあの存在に気付く人はどれだけいるのでしょうか?実際、これを撮っていたら通行人からかなり変な目で見られた記憶が↓。


というわけで、鉄橋もしっかりと残っていたのでした。実はグーグルの地図とかで見ると線路は「一応」ずっと繋がっていることになっているのですよね。もっとも列車なんて来ませんが。これはこの先も期待出来る。果たしてカンボジア内の鉄路は如何に!?


どぅ〜ん。

・・・・・

まあカジノ街ということはわかっていましたが、ここまでとは。もはや路盤の跡形すら無いこの状況。対岸とは180°違うこの光景に圧倒されるばかり。ここを抜ければ再び線路跡の痕跡を発見出来るかもしれませんが、日帰りビザではカジノエリアより先には行けないようでして断念。ハコモノの中身だけ見学して撤収。せめてもの足掻きとして、カンボジア側から鉄橋を。レールは鉄橋で切れておりまして、こちら側はオジェックの滞留所となっておりました。地面の下にもレールが埋まっている気配もありませんでした。こんな場末みたいなところからシンガポールまでレールが1本で繋がっているということを考えるだけでも、なんだかワクワクしてしまいますが、この様子を見る限りでは残存するカンボジアの鉄道の行く末もなんとなく見当が付いてしまいそうですね。ここさえ繋がれば日本からマレー半島まで、はたまたインドネシアまで!?曲がりなりにも海路と鉄路での移動が可能になるのですがねぇ…。う〜む、あとはラオスに頑張ってもらうしかないか(笑)。

↑ついに途切れたレール…

ちなみにバンコクまでの帰路は良い時間に列車が無いのでバス旅で。一応タイ国内には鉄道があると言えど、主流はもはやバスですので、バスといえど列車並みのシートピッチでこれまた快適でした。

おまけ

↑色がJRバスっぽかった